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The Moonスタッフよりオススメのインテリアや日々のあれこれ

西洋骨董*買い付け*見聞録*9

前回まで、私がアンティーク家具・雑貨の輸入・販売をするに至った経緯を書いてきました。
今回からは、時系列をあまり気にせずに1989年からの買い付け時に見聞したことを中心に書いていこうと思います。西洋骨董・買付・見聞録 冒頭にも記述しましたが、あくまでも私の記憶・主観であることを念頭に置いて読んでください。そうでないと、「ほんまかいな」とか、「あほくさ」などと関西のおっちゃん・おばちゃんが頭の中に登場しますよ。
今回は、軽くジャブから入ろうと思います。好機とみればストレート・フック・アッパーと行きましょう(なんのこっちゃ!)
 
1980年代から2000年の初期までは、国内の多くのアンティーク家具やさんが1930~40年代のオーク家具をイギリスから買い付けてきていました、(勿論、ジョージアン時代のウォールナット材やヴィクトリアン時代のマホガニー材など値の張るものや、1900年前後のパイン材家具を中心に買い付けている業者さんもいました。)
 
オーク材家具が人気があった理由としては
*買値が安いが意外と高く売れる
*ハッタリが効く外見である(見栄えがするとも表現することもある)
*サイズが日本の住宅事情に合う
*修復がし易いく扱いやすい
*イギリスに行けばいくらでもある ・・・・等々
 
元々は、1600年前後のチューダーエリザベス時代にオーク材を使用した家具や内装材が多く製作されたことで、この時代を家具の歴史的にはオークの時代と呼びます。
勿論、サイズは大きく、重く、家具というより建物の一部の様なイメージです。
又、庶民には無関係だったでしょう。その後、ウォールナットの時代、マホガニーの時代と、現代人がイメージする家具へと変化していきます。その過程で庶民や農夫が加工しやすいパイン材を使用してテーブルやチェアを作り、それらをファームハウステーブルなどと呼ぶようになります。(イギリス家具のザックリした歴史。これ以上の知識は無用でしょう)さて、話を1930年代のオーク家具に戻しましょう。
 
1930年前後のオーク家具はオークの時代のリプロダクションとして作られたものが多かったでしょうが、ご存知の通り世界中で アールデコ が人気を博してた時代ですので、やはり、アールデコのデザインを取り入れたものが多くなっていったようです。
1980年代~2000年ぐらいまでにイギリスでオーク家具の買い付けをした方ならお分かりと思いますが、大規模なアンティークウェアハウスに行けば、見渡す限りオーク家具という
状態で私など、「なんやこれ」でした。
 
あれだけの数を作ったという事は、それなりに人気があったのでしょう。又、当時のイギリス政府が中流階級を中心に住宅の購入を大々的に勧めたため、あの連なった小ぶりな家とオーク材家具のパターンが中流階級のステータスだったようです。1930年代のイギリスの雑誌にはオーク材家具の広告が多く載っています。
しかし、一世を風靡したオーク材家具も1950年代以降は人気が無くなっていき、しかも、いくらでもあるという事から解体して薪にしていたようです。そこに、目を付けたセカンドショップ(リサイクルショップ)などがそれらを1点1ポンドで買いコンテナにつめアメリカにどんどん輸出したそうです。 在庫は無限、アメリカ人大世喜び、俺も大儲け と大規模なアンティークウェアハウスを有するディーラー ジョン が語ってくれました。
 
日本人バイヤーでこの言葉を知らない人も多くいたと思いますが、1990年代でも現地のアンティークディーラー達はこれらのオーク材家具を shipping furniture と呼んでいました。今は、違うと思うとおもいますが?
又、これもディーラーなら知っていることですが、1930年頃にはすでにイギリスでは、
良質のオーク材が取れなくなっており、北海道の水楢を輸入していました。
何故、良質なオーク材が無かったか?・・・・疑問ですよね。
簡単なことです、環境破壊先進国であった グレートブリテン は国土のほとんどの樹木を切り倒してしまったからです。ウィリアム・テル の時代は豊かな森がありクマやイノシシも多くいたようですが、全て 食いつくしてしまい 今はいません。まさしくグレート。
このことも、イギリス人の友人から聞いた話です。
 
 

続く。

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